「ミュージカル ロマーレ〜ロマを生き抜いた女 カルメン〜」感想
今回は東京芸術劇場でミュージカルロマーレを鑑賞。久しぶりのちゃんとした(というと語弊があるけど)ミュージカルでテンションが上がる。
近年になってカルメンを題材にとった作品がちらほら見られるのは、やっぱ"強い女"像が求められてる時代だからなんだろうな〜。へたに強い男の話とか作っちゃうと時代錯誤って言われそう。
カルメンの話ということで、男を狂わせる美女の話なのかなとふんわりイメージしていたけど、この作品で描かれてるカルメンは偶像じゃなかった。彼女にまつわるストーリー自体はあくまで普通のラブストーリーで、ただロマの伝統と近代社会が相容れないが故の悲恋なのかなと。
カルメンにとって最も大切なのは自分に流れるロマの血であって、そこから逃げられないことを分かっていて割り切った上で男遊びをしている。でもカルメンの美貌と色香に当てられた男たちは前後不覚の状態で、カルメンがどんなパーソナリティを持っているかを理解しようとせず、ただ彼女が自分のものになることだけを望む。そりゃ噛み合わないわな。
というかヤバいのはカルメンよりもどちらかというとドン・ホセだろという印象を受けた。カルメンに手を上げたところで、あ〜もうこれバッドエンド確定ルートやん……と悲しくなった。まあ彼も社会的価値観が同じ相手との恋愛だったらあんなに狂わなくて良かった気もする。制約が2人の恋を燃え上がらせた面もあると思うけど……
「俺を殺せよ」ってドン・ホセに言われたカルメンが「あたいに命令しないで」って拒んだのめちゃクールだった。最後にわざわざ指輪外してホセを挑発して刺されるのも、結局全部が彼女の計算通りなんだろうな……しみじみとクレバーで最高だなカルメン……
わたしはカルメンにまつわる男たちの中ではローレンス推しです。彼女の企みに気づいてて泳がせておき、手を汚すこともすると覚悟を決めてるの、彼氏力高くない?金持ちだし顔よくてスマートだし、古き良きスパダリの趣がある。
こういうタイプのミュージカルにしてはカンパニーのメンバーが少なめで、それ故に兼役が多かったのもいろいろ楽しめてよかった。しょっぱなに出てくるロマたちの中の人が誰だか双眼鏡で顔ガン見しまくりました。
あと今更だけどみんな歌上手くて非常に耳の保養になった!「偽りの仮面」と「アンダルシアの太陽」が好き。黒い湖のような瞳に恋をした……
花總さんあんなにチャーミングだからアラサーくらいなのかなと思って調べたら45歳って。めちゃびっくりした。若い……
こんな感じでミュージカルロマーレ、重厚感のある素敵な作品でした。また芸劇来たいな〜。